Rusko / Songs

一部ではブロステップの先駆者(元凶?)として崇められているらしいRuskoだが、本人的にはその評価に不満もあるらしく、そこからの距離の取り方に興味を持って聴いてみたが、冒頭から在り来たりなピアノのリフと、ジャングルのリズムからウォブリーな重低音が唸るハーフステップへの対比に肩透かしを喰らう。
タイトル通り全てのトラックにヴォーカルがフィーチャーされているが、歌があろうが無かろうがその軽薄さには何らの陰りも無い。

M9等はMagnetic Man「I Need Air」の続編のようで、相変わらず臆面も無くアッパーでフロアライクなサウンドは、間違い無く一昔前ならフロアのドアを開けた瞬間にチョイスミスを悟ったであろう、とてもじゃないが素面で聴くに相応しからぬ類のもので、客観的になった途端に得も言われぬ気恥ずかしさに襲われる。

但し一方で前作に較べ遙かに直接的になったダブ/レゲエ・ミュージックの要素がその気恥ずかしさを幾分中和しているのも確かで、煙たいトースティングにウォブリーなベースラインがダブステップの成り立ちをヤング・アメリカンに向けて解り易く解説するようなM4やM10、スカのリズムを採用したM9やルーツ・レゲエ風のM11等は、ジャマイカン・ミュージックへの造詣の深さやストレートな愛情を感じさせ、Mad Decent/Diplo絡みで言えば、M.I.A.「Maya」に収められた幾つかのレゲエ調のトラックよりは素直に楽しめる。

ブロステップからの距離感という点で言えば、徐に神妙なポーズを取られるよりも、または逆に開き直ってそこに迎合されるよりも、何がしたいのか良く解らないという意味での面白味も無くはない。