Copeland / Because I'm Worth It

微細に蠢くグリッチノイズに地鳴りのようなウォブルベースとコントロールを失ったサインウェイヴが重なったかと思えば、更には浮遊感のあるシンセに侵食されるM1は、間違いなく2014年最高の導入部の一つ。

単調なビートに電子ノイズのループとレイジーな呟きが乗るM2にこそ、Hype Williamsを思わせるアンチ・クライマックスな趣きがあるが、以降のトラックは隙間が多い一方で、構築的でユニークなビート・プロダクションやミステリアスなメロディのシンセフレーズ等のフックに富んでいる。

M4の跳ね回る金属音の深遠な響きや、M7のアトモスフェリックな倍音が迫り来るスペクタクルからは、音響への拘りが充分に聴き取れる。
人を喰ったタイトルに反して「Black Is Beautiful」ほどの諧謔性はまるで無く、音響やリズムへの真っ直ぐな探究心があり、構築的でシンプルなプロダクションがそれを一層際立てている。

一方で鼻に掛ったレイジーな歌声も実に魅力的で、印象的なシンセのフレーズと共に作品全体に歌心のようなものを横溢させており、それこそLaurel HaloとJulia Holterの間を埋める存在と言ってみたい衝動に駆られる。