Suede / Autofiction

最近Elasticaの1stを聴き返したら偉く良かったので、次はPulp「Different Class」を聴いてみたりして、要するに個人的にブリット・ポップ再評価が湧き起こっている。
その流れでDamon Albarnの前のJustine Frischmannの恋人がBrett Andersonだったのを思い出して、当時結構好きだったSuedeの1stを聴いてみようかと思っていた矢先の新譜のリリースで、しかも欧米のメディアの評価が軒並み高そうだった事もあって飛び付いたが、これがもう吃驚するくらい駄目。

改めてブリット・ポップは特定の音楽のスタイルではなく、当時猛威を奮っていたUSオルタナティヴに対抗して、UKのロック/ポップ・ミュージックの遺産を召還するムーヴメントだったと再確認したが、故にバンド毎に召還の対象としたジャンルは様々で、ElasticaはWireなんかのポスト・パンクPulpはスペース・ロックで、一番普遍性のあるThe Beatlesに範を取った(まんまT-Rexな曲もあったけど)Oasisが最も成功を納めたのも、 一番節操の無かったBlur、と言うかDamon Albarnが結局最も息が長いのもまぁ解り易い話ではある。

Suedeに関してはグラム・ロックというのが妥当な線だと思うが、Peter Murphyを彷彿とさせるBrett Andersonの声の印象もあってか、サウンド的にはもう少しゴスっぽい要素があった ような気がしていた。
ところが本作に関しては全く耽美的でもミステリアスでもなく、BauhausはおろかDavid Bowieさえも猟奇殺人犯に思える程、普通に爽やかで垢抜けない大味のロックが展開されている。

今年結構気に入ってしまったJohnny Marrとどれ程違うのかという話ではあるが、生理的に受け付けない何かがこのアルバムには確かにある。
その逆マジックとも言うべき要素が何なのか、探求する事すら億劫だが、強いて挙げれば特に周囲から浮いたキーボードが身悶えする程ダサい。
メロディも凡庸だとしか思えないが、良く考えたら「Suede」のプライマリー・ソングライターは多分Bernard Butlerであって、1993年当時とは全く別のバンドだと考えた方が良いだろう。