Brockhampton / Roadrunner: New Light, New Machine

f:id:mr870k:20211130221447j:plain

Danny Brownを迎えたM1は、多様な声色とユニゾンが賑やかで楽しく、ポッセ・カットの魅力に溢れている。
アブストラクトでバウンシーなトラックとDanny Brownのフリーキーなラップの相性も良い。
バウンシーなビートは確実に魅力の一つで、M11やM16なんかには甲高いシンセ音も相俟って最近では珍しいGファンクっぽい猥雑さがある。

基本は如何にもアンダーグラウンド・ヒップホップ然としたアブストラクトでミニマルなトラックが多いが、M7はまるでKポップみたいで巫山戯ているのか思ったら、どうもメンバーにBTSファンの韓国系が居るらしい。
M12も男性コーラス・グループみたいで、この落差がグループのアイデンティティではあるのだろう。

女性こそ居ないが、メンバーにトラック・メイカーとシンガーを抱える大所帯のコレクティブという点ではやはりOdd Futureとイメージが被る。
尤も今のところはBrockhamptonのシンガーがソロ作品を作ったとしても全く聴きたいとは思わないし、ここからFrank Oceanのような存在が現れるとも思えないが。

大胆にエレクトリック・ギターをフィーチャーした大仰なM9はロック・アンセムのパロディのようだし、M10のストリングスとピアノによるスムース・ソウル調は近年のTyler, The Creatorの作風にも通じる。
メンバー構成の面でも曲調の面でも、多様性こそがBrockhamptonの魅力であるのは確かだろう。