Common / A Beautiful Revolution, Pt. 2

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M2では5/4拍子で細かく刻まれるハットがビートにつんのめったような性急さを加えていて、少しアフロビート風だと思いながら聴いていたら、続くM3ではSeun Kutiを招聘して真正のアフロビートが披露され、そこに載っかる少しオールドスクールな感じのタイトなファスト・フロウやBlack Thoughtとのマイク・リレーはオールド・ファンには堪らないものがある。

その幕開けは否応無しに「Like Water For Chocolate」を連想させるもので、それだけにまたJ Dillaの不在にしみじみともしてしまう。
本作で脇を固めるのはRobert GlasperとKarriem Riggins、つまりは近年のCommonを支えるAugust Greeneの仲間達で、勿論豪奢には違いないが、Soulquariansではないのが少し寂しくもある。

カリプソっぽいM4やブルーズ調のM6、D'Angelo張りのディープ・ソウルのM7等、黒人音楽を総括しようとでもしているようという意味では「To Pimp A Butterfly」にも通じると言えるが、ここには同作に於けるFlying Lotusに代わるような存在や要素は無い。
トラックだけで言えばSaultと共振するようなレアグルーヴ感があるが、良し悪しは抜きにして懐古趣味的であるのは間違いないし、プラス・アルファには欠ける。

とは言え全編を通じて存在感を放つ、PJの伸びやかなヴォーカルが心地良い80’sブラック・コンテンポラリー風のM9や、Raphael Saadiqの歌う軽快でユーフォリックなソウル・ナンバーのM10も良い。
佳曲揃いという点では「Electric Circus」以来で最も好きな作品かも知れない。