Raveena / Asha’s Awakening

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レイドバックしたレゲトン風のM1や、マリンバの音色が気怠くドリーミーなムードを醸出するM3等は、Kali Uchisに非常に近いものを感じさせる。
コロンビア出身のKali Uchisの場合はカリブ海の音楽がその基盤になっていたが、ここではシタールやタブラといった、Raveenaのルーツであるインド音楽の要素がアイデンティティとなっており、またしてもエイジアン・ポップの波を感じさせる。

とは言えそれらの音色は装飾の範疇を出るものではないし、如何にもボリウッドといった感じのこれ見よがしで色物的なものではまるでない。
あくまでコンテンポラリーR&Bとしての体裁を保っており、M7等はLauryn Hillを彷彿とさせる直球のネオ・ソウルと言って差し支えない。

アルバムは後半に進むに連れてレイドバック具合を深めていき、シタールとハープ、パーカッション類が作り出す幽玄で浮遊感のある音像と、微睡むようなヴォーカルとが良くフィットしたM10に至っては極楽浄土の蓮の葉の上で歌っているかのよう。
この言うなればメディテーティヴR&Bとでも呼びたくなるサウンドにこそ、このシンガーの独自性があるのだろう。

極め付けは13分に渡りLaraajiみたいな、これぞメディテーション用といった感じのアンビエント/ニュー・エイジが展開されるM15で、メジャー配給のコンテンポラリーR&Bとしては偉く攻めたものだと感じるものの、如何せん鳥の囀り等の音自体が極めて在り来たりで詰まらないので差引ゼロと言ったところ。