Charli XCX / Crash

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バブルガム・ベースの「ベース」の部分の要素は限りなく希薄になり、最早正真正銘のバブルガム・ポップ。
特にM4等は益々とPerfumeに近付いていくかのようだ。
中には寧ろEDMと呼んだ方がしっくりと来そうなトラックも多く、Charli XCXに関して今更セルアウトも糞も無いだろうとは思うものの居心地の悪さは半端ではない。

SkreamやMagnetic Manを思い出すようなM5の2ステップ/UK ガラージのビートとレイヴィなシンセ・リフ、ハーフ・ステップのダブステップかピッチを落としたドラムンベース風のM6、00年代のエレクトロみたいなM3やM11に名残はあるものの、極端にコンプレッサーで歪んだベース音は無く、全体的にノイジーな要素はほぼ皆無と言って良い。

オープニングのM1に於けるいなたいギター使いは紛れもなくA. G. Cookのものだが、その関与度は大幅に減っているようで、「Charli」やA. G. Cook自身のソロ作を退屈にしていた冗長なバラード(例のシュールなギャグのような「アコースティック・EDM」というやつ) が殆ど無くなった点では好印象を受ける。
ストロング・ポイントが減退した替わりにウィーク・ポイントも無くなって相殺され、平凡だけれども否定し難いポップネスだけが際立った、という感じ。

同曲やニュー・ウェイヴィなM8のゲート・リヴァーブ風のドラムの鳴りからは、Janet Jacksonやニュー・ジャック・スウィングがインスパイア元だというのも成程という感じ。 
Mitskiに続いてThe Weeknd「Dawn FM」と共振するものがあるなと思ったら、M9にはDaniel Lopatinが関与していてちょっと吃驚した。
そう言えばジャケットは「After Hours」と被っているし、一体今英米のポップ・シーンでは何が起こっているのだろうか。