Alex G / God Save The Animals

名前から(Sandy)が取れて心機一転という事なのか、初のスタジオ録音らしいがこれが吉と出ているとは正面切っては言い切れない。
ピッチ・シフターによる声の変調やリバース・ディレイは変わらず多様されているし、辛うじてM5はブレイクビーツ的ではあるものの、ほぼ全編生ドラムによるビートで占められており、特徴だった宅録感を薄めている。

前作にあったエレクトロニカ風は姿を消して、スタイル的な幅はぐっと狭まった印象を受ける。
Sean Lennonで言うと「Into The Sun」から「Friendly Fire」への変遷に重なるような気がするが、かと言って器楽演奏による洗練を突き詰めたという感じもなく、掴みどころが無く中途半端な印象は否めない。

パーカッション類やストリングス、バンジョー等、確かに多少器楽音が豊富になった気がしなくもないが、ギターとピアノの存在感に掻き消されて有りがちなインディ・ロックになってしまっている感がある。
インストのM11に顕著だが、ジャム・セッション/即興演奏的な時間が多くなった印象があり、1人ベッドルームで黙々と精錬させた感のあった前作とは異なるラフなプロダクションが目立つ。

入り組んだソングライティングやフックに富んだメロディは相変わらず印象的ではあるが、コード進行がワンパターンでどの曲も似通った印象で、曲の良さだけではもう差別化要素としては些か弱い。
決して出来の悪い作品ではないが、期待値が高かっただけに物足りなさは否めず、King Krule「Man Alive!」の場合と同様に、ブレイクスルー後のアルバムの難しさを物語るような一枚である。