Ezra Collective / Where I'm Meant To Be

Sampa The Greatを迎えたM1はアフロ・ビートにスカを混ぜたよう。
M2はサルサ、M12はメロウな曲調から一転、ラテン・ジャズに少しサンバの要素を加えたかのようなサウンドで、アフロ・ジャズやラテン・ジャズを基調としながら、M5やM6ではレゲエ/ダブ調等も披露しており、総じてエスニックな要素がこのバンドのアイデンティティと言って良いだろう。

但しそれ一辺倒という訳では決してなく、M7やM8ではシンセ・ストリングスやエレピ、ヴァイブ等の音色が加わって、ソウル・ジャズやクラブ・ジャズ的な洒脱なムードを醸し出している。
リズムはグルーヴィなものが多く、他のサウス・ロンドン・ジャズに比べて享楽的とは言え、ダンス・ミュージックとしてのジャズにフォーカスした印象がある。

Joe Armon-Jonesの独創的なピアノ・ソロはなかなかにエキサイティングだが、その他にはまともにソロを取る楽器はなく、プレイヤビリティを誇示するような態度とは無縁という点で、Sons Of Kemet等の他のサウス・ロンドンのアクトと共通する。
但しSons Of KemetやMoses Boydが構造やビートの面でテクノ以降のエレクトロニック・ミュージックの強い影響を感じさせるのに対して、(M9はハウス的とも言えるが) Ezra Collectiveにその要素は希薄で、革新性はこれっぽっちも感じない。

その代わりに強靭なリズム隊をバックにサックスとトランペットの2管で聴かせるアンサンブルやハーモニーは単純に楽しいし、冒頭のSampa The Greatに加えて、M3ではKojey Radicalを迎えたりと、フレッシュなMCのチョイスもポイントが高く、ポップネスに於いてはサウス・ロンドン・ジャズ・シーンの中でもずば抜けていると言って良いだろう。