Romy / Mid Air

ギターという楽器のイメージでしかないが、勝手にThe XXのインディ・ロックの要素はRomyが源泉だとばかり思い込んでいた。
それだけに彼女がギターを排し、徹底して4/4のビートのストレートなハウス/ダンス・ポップに取り組んだ、しかもそれがOliver SimはおろかJamie XXのソロ作よりもフロア志向と言って良い内容である事に些か驚かされた。

当たり前ではあるがメロディはThe XXそのもので基本メランコリックだが、時折センチメントやユーフォリアを垣間見せるところは「I See You」からの連続性を感じさせる。
但しJamie XXが関わったのは1曲のみで、プロダクションの殆どを今を時めく(?)Fred Again..が手掛けているというのも意外であった。

Jamie XXがプロデュースに名を連ねたM11のディスコ調のハウス・トラック等は未だすんなり馴染み易いが、M2やM6等の煌びやかに明滅するシンセ・リフはハウスと言うより最早トランスと言った方が良さそうな気がする。
身近なところではBicep辺りに通じる感じもあるが、それよりも数段はチージーで、良くも悪くもRomyのイメージを覆す意外性がある。

はっきり言ってプロダクション自体の面白味はゼロだが、シームレスに繋がるM6〜M8の流れの畳み掛けるようなポップネスには否定し難い魅力があるのも確か。
あそこまで陽気ではないにせよ、Kylie Minogueの近作と並べて聴いても全く違和感は無いという意味で、下手なインディ臭さを排除してチージーに突き抜けたのが却って功を奏したと言えるのかも知れない。