Hudson Mohawke / Butter

未だJ Dillaの影を背負うFlying Lotusと対置し、このHudson Mohaukeを評して「よりオリジナルだ」というニュアンスの記事を何処かで読んだのだけれども、このアルバムを一聴した直後の自分の感想というと「何だかPrefuse73の影が散らつく」というものだった。
しかしよくよく聴いてみると、その感想はとんでもない勘違いで、表面的な上モノのコード感や位相からは確かに共通したセンスが感じられるけれども、まずもってビートが全く違う。

Prefuse73のデビュー当時はあれをMPCで創ったという事実に誰しもが驚愕したが、そういう意味での精巧さ緻密さはこのアルバムには殆ど感じられない。
どちらかと言えば、パッドを叩いて録ったんじゃなかろうかというくらいの(いい意味での)歪さや乱暴さがある。
加えてPrefuse73のジャストなエディット感覚は全く無く、一音一音の出入りは余りに唐突で、こう言って良ければ荒唐無稽ですらある。

簡単に自分のツボに嵌らないので、即効性のある音楽ではないように思えるが、繰り返し聴く内にその突拍子も無さがじわじわとクセになり、何とも笑えてくる。
同じ様な感覚を他にも体験した事があったと回想してみると、先日復活したAntipop Consortiumのトラックに近いような気がしてきた。
メロディのせいでイメージは全然違うけれども、トラックの珍妙さやチープさ加減は何とも近い。

AntipopがそうだったようにHudson Mohawkeも数多のフォロアーを作るような存在にはならない予感はするが、ビート・バブルとでも呼ぶべき昨今のシーンにおいてもこれ程異彩を放ち、且つ自由なビートは類を見ない。
という事を考えていたら無性に両者のコラボレートが聴きたくなってきた。
AntipopがまだWarpにいたら…。