M2やM3のシューゲイズ・テクノ調からThe Fieldを思い出す。
横溢するロマンティシズムはM11で共作しているJon Hopkinsにも通じるが、享楽的なブレイクやヴォイス・チョップ等が時にアッパーで、ダンス・ミュージックとしての機能性に於いてはJon Hopkinsを軽く凌駕している。
ジャケットからは想像し辛いが、M5のインタールード等はまるで初期のProdigyみたいな大味なハードコア/レイヴ。
今のイギリスやアメリカからこういうある意味懐かしい感じがするテクノが登場するのは奇妙にも思えたが、オーストラリア出身と聞いて至極腑に落ちるものがあった。
(拠点はロンドンらしいが。)
その屈託の無さはテクノ版のCourtney Barnettとでも言った感じで、つまりは対象物へのストレートな愛情を感じさせると同時に、その距離感は何処か周縁的と言うか、自身の作り出すサウンドが「本物」のテクノではない事を悟っていながら全く捻くれたところが無いと言うか。
元はサイケデリック・ロック・バンドのフロントマンだったというのは解るような気もするが、かと言って変なコンプレックスは微塵も感じさせない。
多くのトラックに本人のヴォーカルが入っているが、これがまた絶妙に匿名性が強く全く邪魔にならない。
覇気の感じられない、ソウルフルでもなければ透明感も無い声は、テクノ/ハウスに乗せるにしては珍しく、ビートの圧の強さも相俟って歌物という感じが全くしない。
逆にHot ChipのAlexis Taylorが歌うM6ではその歌声が若干鬱陶しく感じられ、ちょっと蛇足に思えてしまう。