2018-01-01から1年間の記事一覧

Beck / Colors

クリアな音響や矢鱈とアタックの強い明瞭なキック・ドラムを始めとしたメジャー感のあるプロダクションは、「Mellow Gold」や「One Foot In The Grave」から凡そ隔世の感がある。 ルーツ・ミュージックの盗用も、サンプリングによるエディット感覚も、ノイズ…

Perfume Genius / No Shape

エレポップとグラム・ロックとチェンバー・ポップが入り混じったようなサウンドは、強いて2017年のリリースで言うならSt. Vincentに近いだろうか。 ただアッパーだった「Masseduction」に較べると、ビートは抑制されていてやや内省的でもあり、エレクトロニ…

Four Tet / New Energy

冒頭のハープの音色はフォークトロニカへの揺り戻しを感じさせるし、M10等のチェンバー・ミュージック風の小品にはそのジャンルのオリジネイターの風格が漂っている。 M2ではハープシコードの音色とヒップホップのビートが絡まり合いレイドバックしたムード…

Ben Frost / The Centre Cannot Hold

いきなりの如何にもSteve Albini的な、濃密で重厚なインダストリアル・ノイズでアルバムは幕を開ける。 実際にはミックスのみでプロデューサーとしてはクレジットされていないがその影響は明らかで、Steve Albiniによって補強された暴力的な要素とそれでも次…

Björk / Utopia

タイトルはMatthew Barneyとの離縁という地獄のような私生活での経験を反映した前作に対応しているそうで、Arcaとの共同作業や管弦楽器を基調としたコンポジションという面では確かに連続性がある。 前作がストリングスのアルバムだとすると、本作では管楽器…

Lee Gamble / Mnestic Pressure

ジャングルのビートが現れたと思った途端、一瞬にして猛烈な水圧のようなノイズとアンビエンスに飲み込まれるM1に始まり、リヴァービーなシンセやベースラインがミニマルダブのようなM2、ブレイクコアを思わせるM3に、ドリルンベースのようなビートが「Drukq…

King Krule / The Ooz

チリノイズに覆われたクリア・トーンのギターやローズ・ピアノ、テナー・サックス等のジャズの音色の他に、ブルーズにロックンロール等のルーツ・ミュージック志向が若干23歳とはとても思えない老成したセンスを感じさせる一方で、ブレイクビーツ風のビート…

Kelela / Take Me Apart

Night Slugsクルーを中心とした名だたるプロデューサー陣の手による、ベース・ミュージックの名残を残すトラック群は、エレクトロニック・ダンス・ミュージック不作の2017年に於いて一際輝きを放っている。 Burialを通過したドラムンベース・ミーツ・ドリー…

Moses Sumney / Aromanticism

ファルセットのマルチ・レイヤーによるポリフォニーがクワイアを想起させるという点では、レーベルメイトであるBon Iverに通じるものがある。 或いはピアノをギターに持ち替えたJames Blakeといった表現も浮かんでくる。 ギターのアルペジオを基調に据えたフ…

Mount Kimbie / Love What Survives

如何にもMount Kimbieらしい柔らかくくぐもったアナログ風の質感の揺らぎのあるシンセ・フレーズに、2ステップでもイーヴン・キックでもなく、生ドラムの8ビートが被さり、更にはギターのフィードバック・ノイズとロウなベースの音色が合流するM1は、その意…

St. Vincent / Masseduction

アタックの強いエレクトロニックなビートの導入によって、まるでゴスの要素を取り除いたNine Inch Nailsみたいな楽曲が並んでいる。 最近Nine Inch Nailsの事を連想する機会が多いような気がするのは、まさかポップなレベルでインダストリアル・リヴァイヴァ…

Liars / TFCF

一人になってしまった感傷に身を任せて弾き語りをやってみるも今一つ面白くないのでループを重ねてドラムマシンでビートを乗せたらClouddeadみたいになった(そう言えばAngus Andrewの歌声は何処となくDose Oneに似て…ないか)、といった趣きのM1は、安易と…