2020-01-01から1年間の記事一覧

Mac Miller / Circles

バックトラックはほぼギターとヴィブラフォンのみのM1に始まり、クラウド・ラップ等という表現では生温い、フォーキーと言って差し支えない程のある種の境地に達したかのような穏やかさがアルバム全体を通底している。M2ではレトロなシンセがGファンクを連想…

Gil Scott-Heron / We're New Again A Reimagining By Makaya McCraven

ヒップホップの影響著しいジャズ・ドラマーによるリコンストラクトだけあって、M3やM18等のループ感のある8ビートは確かにブーンバップ的だ。M13でもテクニカルでマシニックなハイハットがリズムにアクセントを生み出しているが、Chris Dave以降ではヒップホ…

Yves Tumor / Heaven To A Tortured Mind

先ず普通にドラムもギターも聴こえる事に吃驚する。注意深く聴けば奇妙なノイズも確かに鳴っているがあくまで背景に徹しており、Panからのリリースも坂本龍一のリミックスも一体何だったのか。Dean Bluntにも通じる如何にもトリックスター的な振る舞いだと思…

Hot Chip / A Bath Full Of Ecstasy

シンセの音色はオールドスクールだが、そのポリフォニックなレイヤーの安定感には職人技的な貫禄すら漂う。故Philippe Zdarがプロデュースで関与しているせいなのか、シンセ・ベースが存在感を放っており、特にM4はフレンチタッチ的と言えなくもないような気…

Burial / Tunes 2011-2019

冒頭のゴシック・アンビエントから徐々にメランコリックな女声ヴォーカルと微かなビートが立ち上がり、ダウンテンポやトリップ・ホップを経て、M6のノスタルジックなエレポップ調 やM7のともすればややチージーな80’sポップス調を挟みつつ、M8の切迫感溢れる…

Denzel Curry / Zuu

音色自体は紛れも無くトラップだが、その手のサウンドにしてはサブベースにしっかりとリズミックな主張がある。M1やM6こそTravis Scottを彷彿とさせるダウナー系で、余り関心はしないが、それでもリズムはバウンシーで退屈させない。トラップの終焉を実感し…

King Krule / Man Alive!

独特のコード感にストレンジなSEとダビーなエフェクト、或いは倦怠感が染み込んだような歌声等々、イディオマティックな特徴には枚挙に遑がないけれども、King Kruleのサウンドが持つ、鳴った瞬間に空間を支配するかのような強固にムードを醸出する力には、…

Bonnie Prince Billy / I Made A Place

M1やM3のストレートなカントリーはまるでディズニー・ランドのその手のエリアで流れていそう。M2やM5はBeck「Sea Change」に近い感触のフォークだが、アルバム全体を通して沈鬱な印象はまるで無く、その軽快さやフレンドリーな佇まいは寧ろ「Mutations」の方…

Caribou / Suddenly

未だ個人的にはManitoba名義の所謂フォークトロニカのイメージが強いだけに、猛烈にチルウェイヴを想起させるM2のシンセポップには些か驚いた。最大のトピックは大半のトラックでフィーチャーされているDan Snaith自身のヴォーカルであろうが、そのプレーン…

Tame Impala / The Slow Rush

ディスコ/ハウスからの影響は顕著で、アンセミックなピアノやシンセの音色が楽曲の基調となっており、辛うじてギターは聴こえるが決してロック・バンドのそれではない。ドラムの音色はあからさまにエレクトリックという訳ではないが、クリシェをなぞったよ…

FKA Twigs / Magdalene

2009年にKevin MartinがKing Midas Soundの1stをドロップした頃、当時は未だトレンドセッターだったDiploが、「次はトリップホップがリヴァイヴァルする」という旨の発言をした事があったが、それから10年が経った現在、その予言は見事に的中したと言って良…

Danny Brown / Uknowhatimsayin¿

立ち上がりこそダウナーだが、エキセントリックなM3で漸くギアが入る。総じて地味な印象だが、幾つかのキラートラックがアルバムのポップネスを支えており、特にM7~M9の流れは白眉。「Atrocity Exhibition」の得も言われぬドラッギーなフリーキーさは減退し…

Kano / Hoodies All Summer

シネマティックなストリングスとピッチアップされた高音のヴォーカル・チョップに疎らなビートが絡むM1に始まり、M2やM7を加えた、ベースがすっぽりと抜け落ちたような正にウェイトレスなトラックと、その上に乗っかるKendrick LamarとEminemの中間を行くよ…

Michael Kiwanuka / Kiwanuka

M2の捏造されたレトロなグラムロック風は、同じくDanger MouseプロデュースのBeck「Modern Guilt」を彷彿とさせる。乾いた生ドラムの音色や密室感のあるくぐもった音像はLittle Simz「Grey Area」にも通じるが、これはInfloの作家性によるものだろうか。但し…

Kim Gordon / No Home Record

M1のインダストリアルなビートは宛らAlec Empireのようだが、意外にも全く違和感は無く、寧ろKim Gordonの無調のヴォーカルに自然とフィットしている。M5の4/4のビートとエコーの掛かったヴォーカルや、重たいサブベースのリフの上で、只管スポークンワード…

Bon Iver / I, I

声もバンジョー(のようなギター?)も徹底的にエフェクトで歪曲され、どの音も断片的で継ぎ接ぎのようなM1のオープニングは最早James Blakeと言うよりも完全にOPNに接近している。前作では未だ色濃く残っていたトラディショナルなコンポジションは、本作の…

Floating Points / Crush

激しく明滅するM1のストリングスの、そのアイデア自体も素晴らしいが、生音を決して単なる生音として聴かせないとでもいうような音響への拘泥も相変わらず。一音一音が鮮烈で、細部に渡り一切の手抜きは無く、集中力の高さや几帳面で丁寧な人柄を窺わせる。…

Charli XCX / Charli

ストレートで派手派手しいシンセの音色やアルペジエイターの多用といった特徴はHudson MohawkeやRustieの大仰でレイヴィーなサウンドを想起させ、単純化すれば懐かしいウォンキーとバブルガム・ポップの出会いと言えるだろうか。或いはM2やM4等の2ステップに…